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股関節の「つまり感」を感じる原因と対策【解剖学的に解説】

  • 執筆者の写真: 敦博 森内
    敦博 森内
  • 6月22日
  • 読了時間: 3分

「足を曲げると股関節がつまる感じがする」「ストレッチやスクワットで引っかかる」こんな違和感を感じたことはありませんか?


股関節の“つまり感”は、ただの柔軟性不足ではなく、筋肉・骨格・関節の構造や動きの問題が関係している場合が多くあります。

今回は、解剖学の視点からその原因と具体的な対策を解説します。



◆ まず理解したい:股関節の構造

股関節(股関節)は、大腿骨の骨頭(丸い部分)と骨盤の寛骨臼(受け皿)で構成される球関節です。

  • 可動域が広く、屈曲・伸展・外転・内転・回旋が可能

  • ただし構造上、「安定性」と「可動性」のバランスが必要

この股関節がスムーズに動くためには、関節の適切なアライメント(位置関係)と筋肉の連携が不可欠です。



◆ 「つまり感」の主な原因とは?

前側の筋肉の硬さ(腸腰筋・大腿直筋など)

デスクワークや座り姿勢が多いと、腸腰筋(腸骨筋+大腰筋)や大腿直筋が短縮して固まり、股関節屈曲時に骨同士が詰まりやすくなります

  • 特に椅子に座った状態が長時間続くと、股関節前面が圧縮された状態が続きます。


殿筋群(大殿筋・中殿筋)の弱化や機能不全

お尻の筋肉がうまく使えていないと、骨盤の安定性が低下し、股関節の動きがブレることで、関節に負担が集中します。

  • 特に大殿筋が使えないと、股関節の伸展動作がスムーズにできず、代償動作が起こりやすい


インピンジメント(FAI)

股関節インピンジメント(FAI:Femoroacetabular Impingement)とは、大腿骨と骨盤の骨が衝突することで動きが制限される症状です。

  • 解剖学的な骨形状の問題(骨の出っ張りなど)によって起こることも

  • 体を前に倒したり脚を上げたりする際に痛みや違和感が出やすい


体幹・骨盤のアライメントの崩れ

姿勢不良(反り腰・猫背など)や骨盤の前傾・後傾が強いと、股関節の動きに異常なストレスがかかります。

  • 股関節をスムーズに動かすには、骨盤と体幹の安定性が不可欠



◆ 解剖学に基づく「つまり感」への対策

1. 腸腰筋のリリースとストレッチ

  • 大腰筋・腸骨筋をほぐすことで、股関節屈曲時の圧迫を軽減

  • ストレッチ例: → 片膝立ちの姿勢で前脚に体重を乗せて、後ろ脚側の股関節を伸ばす → 腰を反らせすぎず、骨盤を後傾させる意識が重要


2. 大殿筋・中殿筋の活性化

  • 機能的なヒップリフトやバンドウォークなどで殿筋群をしっかり使えるようにする

  • 例: → ゴムバンドを膝上につけて、お尻に効かせるヒップリフト → 横向きのクラムシェルで中殿筋に刺激


3. 体幹トレーニングで骨盤の安定化

  • 体幹と骨盤を安定させる能力を高める

  • 骨盤が安定することで、股関節がより自由に動けるようになります


4. モビリティドリルの導入

  • 股関節まわりの関節包や筋膜の滑走性を高めるモビリティ系のエクササイズも効果的

  • 例: → 90/90ポジションでの内・外旋ストレッチ



◆ 注意点:痛みがある場合は医療機関へ

「つまり感」に痛みや強い可動域制限が伴う場合は、関節唇損傷やFAIの可能性もあるため、自己判断せずに医療機関へ相談しましょう。




まとめ

股関節のつまり感は、「柔軟性がないから」だけでなく、筋バランス・姿勢・関節の連動性の問題が大きく関わっています。

  • まずは腸腰筋をゆるめ、

  • お尻の筋肉をしっかり使い、

  • 骨盤・体幹の安定性を高めることで、

  • スムーズに動ける股関節が手に入ります。

日常生活やトレーニング中に違和感を覚えたら、ただ伸ばすだけでなく、動きの“原因”に目を向けることが根本改善のカギです。

 
 
 

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